京都市北部に位置する大原。
夏は涼を感じ、冬は一層寒さを増す山の中に佇む門跡寺院。
代々皇子、皇族が順番に住職を務め上げてきた三千院は、季節により色々な顔を見せ人々を楽しませてくれます。
今回訪れたのは真夏の京都でしたので、紅葉や雪の雰囲気はありませんでしたが、蝉の鳴き声と樹々の新緑で涼をとってきたので、その様子もお伝えしたいと思います。
三千院の由来
大原三千院の創建は伝教大使最澄上人。
天台宗五箇室門跡の一つであり、梶井門跡、梨本門跡とも呼ばれ、数々の災害(火災・応仁の乱など)での移転を繰り返した後、明治4年に三千院と称されるようになりました。
御殿門(ごてんもん)
門にかかっている名称を見てみると、三千院の横に「梶井門跡」とも書いてあることがわかる。
広い階段を登り「御殿門(ごてんもん)」を通ります。
造りをよくよく見てみると、まるで城へと続く城門かのような門構えとなっていて、実際その石組みは、石積みのスペシャリスト集団、『穴太衆(あのうしゅう)』による技術で作られています。
そのため、長い年月をかけても壊れにくい頑丈な造りとなっているのです。
では御殿門を抜けて、拝観料を納めた後、いよいよ境内の中へと入ります。
・大人700円(団体30名以上600円)
・中学、高校生400円(団体30名以上300円)
・小学生150円
(令和4年8月現在)
聚碧園(しゅうへきえん)
池泉観賞式庭園になっている見事に整えられたこの庭園では、お茶とお菓子でゆったりとした時間を過ごすことができます。
また秋になると紅葉で埋め尽くされた空間になります。
なお一層の風情を感じることができるでしょう。
有清園(ゆうせいえん)
池泉回遊式庭園で、空にまっすぐと伸びるスギやヒノキがたくさん並んでいて、滝も楽しめるとても風情のある空間でした。
苔むした感じや空気の流れなどが幻想的で心がスッとする感触を覚えます。
往生極楽院(おうじょうごくらくいん)
往生極楽院に祀られているのが国宝である『阿弥陀三尊像』です。
お堂自体はそれほど大きなものではないため、仏様にあわせ、天井に工夫をし、堂内に収められています。
現在はもう分かりにくくはなっているものの、天井には極楽浄土を描いたとされる、当時極彩色で描かれていた天女や菩薩の姿があります。
阿弥陀三尊像の両隣には『観世音菩薩坐像』『勢至菩薩坐像』が鎮座しており、観世音菩薩は往生者を蓮台に導く姿、勢至菩薩は合掌し、両菩薩とも膝を少し開いて前屈みになっています。
この独特な『大和坐り』をもって、往生者を迎えているのです。
また、平安時代を代表する三尊像であり、建物自体も国の重要文化財となっています。
わらべ地蔵
苔むした庭園に佇むお地蔵様。
石彫刻家杉村孝氏によりさまざまな表情を見せるお地蔵様が所々におり、その代表的なしぐさというのが、
・頬杖をついている
・苔帽子をかぶっている(上記写真)
・鳥が頭に止まっている
・微笑んでいる
・膝を抱えて座っている
とまあ多種多様な落ち着いた雰囲気をみせ、とても可愛らしく愛情溢れるお地蔵様に出会えます。
御朱印
三千院でいただける御朱印は全7種。
・薬師如来
・金色不動尊
・弥陀三尊
・聖観音
・弁財天
・御詠歌(2種)
となっていて、
今回はそのうちの3種類頂いてきました。
「薬師如来」は基本の御朱印という感じでしょうか。今回は開創30周年ということで、記念の印が押されています。
「金色不動尊」は近畿地方の不動尊霊場第16番札所として安置されています。
「弁財天」は京の七福神の一つとなっています。
それぞれ魅力しかない御朱印でしたが、この日はお盆にもかかわらずとてもすいていて、待つことなく頂くことができました。
ちなみに小学生はこのようなスタンプラリーに参加することもでき、最終全て集めると、記念品がもらえたりもします。
6か所あるスタンプ台を巡るのですが、
「必ず仏様に手を合わせてからスタンプを押しましょう」
「順番を守って静かに押しましょう」
「走り回らずゆっくりお参りしましょう」
と注意書きもあり、簡単な参拝ルールを身に着けつつ、お堂巡りを楽しめるようになっているのですね。
まとめ
何度か訪れたことのある三千院でしたが、やはりいつ来ても落ち着きのある趣いっぱいの雰囲気で、これは全ての季節を制覇しないといけないなと感じました。
前回冬に大原を訪れた時には、びっくりするほど寒く、大根炊きなどもされていたときだったので、とても印象深かったことを覚えています。
そして京都の寺社は秋が最高の季節であります。
地元の人ほど、観光シーズンは避けていきがちなのですが(遠足でしか行ったことない場所もたくさん)、たまには覚悟を決めて風情を味わいに行ってみないとな、と随分と大人になった今では心底思います。