2021年。現代の人気職業と言えば、YouTuber、プロスポーツ選手、医師、警察官、イラストレーター…など多種多様な職業が注目を集めています。
では江戸時代までさかのぼると、どんな職業があって、どんな職業が人気だったのでしょうか。
そして現代と比較してみると意外と共通点が見えてきましたので、詳しく見ていきたいと思います。
どんな職業があったのか
もちろん現代でもそうですが、生活に関連する職業はたくさんあり、
・医者
・大工
・飛脚
・両替屋
・酒屋
・岡っ引き
・紙屑買い
・猫のノミ取り屋
・大奥奉公
・大原女
・天秤師
・歌舞伎役者
・請宿
・損料屋
・髪結い
など、日常生活に関わる仕事を主として数々の職業が存在していました。
よくよく見てみると、どれも現代にある仕事ばかりで、その人気ぶりも収入もほぼ今と変わらないような価値観であると思います。
高収入な職業は
大工
江戸時代の町人の給料は大体300文と言われる中、400文~600文ほどもらっていたのが「大工」さんでした。
江戸の町はとても火事の多い町で、木造の民家の密集していたため、一度火事になると、あっという間に燃え広がり、あたりは大変なことになっていました。
当時の消火方法が「破壊消火」だったこともあり、復旧のための大工さんの存在が欠かせないものとなっていたのです。
ちなみに戦国時代以降は、木造建築者のことを「大工」さんと呼ぶようになりましたが、古代から中世にかけては、上級の手工業者のことを指していました。
古代では国家の支配をうけ、木工寮・修理職として、大工・少工に分けれており、また、中世になると、寺院の依頼などによって、鍛冶大工・鋳物師大工と言われる特定の職人に仕事を任せていたのです。
そして戦国時代以降になると、「番匠」(ばんしょう)として活動をし、荘園領主から給田(番匠給)を与えられるほどの実力者まで出てくるようになっていました。
そんな大工さんはやはり人気もあり高収入。
現代でも人気の職業として活躍されていますね。
医者
このころは民間療法的な感じもあり、とくに医師免許等の制度はなく、医者を名乗る事ができました。開業に関しても自由で、特に届け出をしなければいけないということもなく、収入を得ることができたようです。
収入源としては、
・診察料
・薬札(薬代)
・往診料(籠代など移動費含む)
などで、収入を得ていました。
ヤブ医者なんかが多かったのも、特に規制がなかったからかもしれません。
もちろんしっかり病気を診てくれるお医者さんもいました。
駕籠かき
人を運ぶ役割を果たした駕籠。今ではタクシーのような感じですね。
もともとは身分の高い公家や将軍を運んでいて、駕籠の作り自体も、美しく豪華という様でしたが、次第に粗造りなものを町人が使用してもいいようになり、普段使いされるようになりました。
但し、使用料金はわりとお高めで、5キロで1万円以上とかなりの高額。
さらには駕籠を運ぶ人より、その事業主により多くの儲けがいったということもあり、経営者にとってはとても儲かる仕事だったかと思います。
しかしながら、明治時代以降は人力車が実用化されるようになってきたので、次第に活躍の場はなくなっていきました。
両替商
現代の銀行業務に近い両替商。
預金に関する事や、手形の融通、為替の取組、金銀の相場立など、あらゆる金融業をこなしていたのが両替商です。
手数料を取って金銭の両替をおこなっていました。
歌舞伎役者
もちろん歌舞伎役者になるまでの道は果てしないですが、当時も現代にも人気がある役者さん。
「千両役者」という言葉があるほど、儲けはかなりありました。
飛脚
飛脚についてはこの記事で詳しく書いていますが、宅配便業は今では特に欠かせないですよね。
豪商「三井家」
ここで忘れてはならないのが「越後屋」の起こりとなった「三井家」です。
この三井家の基礎を築いたのが三井高利でした。
当時の呉服屋さんの商売方法といえば、”つけ払い”、”訪問販売”が主流だったのですが、
「店前売り」
「現金安売掛け値なし」
という新しい商法による販売を始めたのです。
つまりは、「店頭販売で現金をツケではなくその場で払ってくださいよ」っというやり方です。お客さんに来てもらって、しっかりとその場で現金でいただく。
今では当たり前のようなことですが、三井家はこのやり方で、一日に150両売れたこともあるくらい成功したのです。
その後は江戸、大坂、京都に両替商を開いて、幕府の御為替御用達になるなど、活躍し、今になっても三井の名は世に知れていますよね。
多くの職業が今に残る
日常の職業から儲かる仕事まで、数々の職業がありましたが、髪結いなど美容師や、岡っ引きといった警察官、また動物に関連した職業。外食産業などもありましたし、現代に通じる人気の職業は、当時とあまり変わらないものなんだなあ。という印象がありました。
特に生活に必要な、衣食住に関連する仕事は、必然的に重要視されていることもあり、主流になってくるのは当然のことであったということですね。