1年が365日である理由。それは太陽暦の考え方によって、その法則が採用されたからです。
太陽暦というのは、
地球が太陽の周りを一周する時間「公転」÷地球が一回転する時間「自転」=約365
という考え方で、まずこれをベースにして暦はつくられました。
そして2月が28日(もしくは29日)なった理由をざっくりというと、
これは古代ローマ暦では2月が年末とされていたために、後々月日を調節した月として2月が選ばれた、というのが理由です。
それでは現在世界的に使われている太陽暦である「グレゴリオ暦」に至るまでの、暦の変遷を見ていきましょう!
暦の考え方。一年の見方を考える。
エジプト暦(シリウス暦)
そもそも暦の考え方が始まったのは、エジプト暦(シリウス暦)が起源となっています。
太陽暦のはじまりともされているエジプト暦は、シリウスが見えてくる頃を「夏至」として、そこからまた一年たった、次のシリウスが見えて来る頃を1年としてはかったものです。
毎年雨季になると、ナイル川が氾濫し、あたりが洪水となります。その頃東の空に輝くシリウスを目安に農作業を行っていました。
ちょうどその間隔が約365日。
素晴らしい人間の感覚です。
星の位置や自然の働きにより、1年を感じとっていたのですね。
ロムルス暦
古代ローマ時代に使われていたロムルス暦(ローマ暦)は、3月から1年が始まり、12月で一度暦が終わっていました。
そして12月の寒い時期が終わり、暖かくなってきて来た頃を3月としていたのです。
つまりは大体の感覚で、
「暖かくなってきたから、そろそろ3月だろう。」
ということで、突如春が始まったのです。
ですので、暦のない月が約60日ほどあったと考えられます。
しかしもちろんそれでは季節のズレが生じてきますよね。
その後ヌマ暦になる頃には、それぞれの月は29日、または31日としており、ここで、初めて1年が12ヶ月となるのです。
偶数が不吉とされていたこともあり、ひと月が偶数の30日とかになることはありませんでした。
ここで、1年は大体355日とされます。
ユリウス暦
しかしやはりこれでは、暦はズレて行くばかり。
気がづけば、通常の2ヶ月ほど暦は進んでしまっていたのです。
そこで、軍人で政治家でもあったユリウス・カエサルは、新たに「ユリウス暦」を制定。
奇数月は31日
偶数月は30日にしよう!
ということで、1年は365日にし、4年に1回は366日にする閏年もつくられたのです。
しかし時の皇帝アウグストゥスは、自分の生まれ月の8月は長くして欲しい!という理由もあり、偶数月である8月を31日にして、その上、8月の名称まで変えさせました。
偶数月の8月を31日にする代わりに、ロムルス暦では2月が年末とされていたため、その2月から日をいただいた形となったのです。
グレゴリオ暦
そして1582年、現在世界的に使われている暦である、「グレゴリオ暦」が、ローマ教皇、グレゴリウス13世によって、制定されました。
今までのユリウス暦を元に、
・西暦が100で割り切れる年は閏年としない
・400年で3日閏年を減らす
・400で割り切れる年は閏年にする
といった修正をくわえ、新たに暦が改定されたのです。
日本ではいつから太陽暦になったのか
日本で太陽暦が採用されたのは1872年のことでした。それまでは、
1年は太陽、ひと月は月
の運行を基準として、19年に7回の閏年を設けるという、「太陽太陰暦」を使っていました。
太陽暦に変えたことで、
明治5年12月3日を、明治6年1月1日として、1日は24時間、週7日になり、新たに暦がスタートしたのです。
太陰暦とは
太陽と地球の周期で考えられた「太陽暦」に対して、月の満ち欠けの周期を元に暦をつくっている「太陰暦」という暦の見方があります。
実際の暦とはやはりズレがあるのですが、太陰暦であるイスラム暦(ヒジュラ暦)では、現在もこの暦が使われています。
ただし、ヒジュラ暦がズレているのはわかっているので、グレゴリオ暦とヒジュラ暦の両方のカレンダーを併用しています。
まとめ
このようにして、1年が365日になるまで、試行錯誤を繰り返していました。
気温や農耕、天体の動きによって、肌で感じていた暦を、バッチリ合わせて行くには研究が必要でありました。
日本でも、江戸時代の頃には、「暦学」という、太陽や月、星の動きを観測して作り出す、暦専門の学問がありました。
やはり暦や自然、天体に関するものは謎も多く、解明されていないことはたくさんあります。
毎日眺めるカレンダーも、こんな歴史的背景があったのですね。
おまけ「にしむくさむらい」
ちなみに31日がある月とない月の覚え方で
「にしむくサムライ」
という語呂合わせがありますよね。
2月4月6月9月11月が31日までない月になりますが、
「サムライ」がなぜ11月にあたるのかご存知でしょうか。
11月を漢字で書いた時、十一となりますが、
これを組み合わせると…【士】
つまり「サムライ」となる訳です。
日本ならではの覚え方ですね!